1 インプラント治療とは?
1)インプラント治療を行う目的について
インプラント治療を行う目的は、歯がない場所、あるいは歯を抜く必要がある場所に対して、再び噛めるようにするための治療と言えます。インプラント以外にも入れ歯治療やブリッジという治療法がありますが、それらの治療法よりも優れた点があります。自分の歯のように噛める、隣の歯に負担をかけなくて済む、見た目が天然の歯と同じといったメリットです。
2)インプラントの種類とその手順について
インプラントの種類はインプラントメーカーが多数あり、インプラントメーカーごとに種類がありますが、治療の手順は基本的に同じです。
まず、歯を抜いた場所にインプラントを埋める手術を行います。3~4か月程度で、埋めたインプラントと顎の骨がくっついて固まります。
その後、アバットメントと呼ばれる金属のふたを装着し、白い歯をかぶせます。
基本的に手術は2回行います。
3 )インプラント治療の期間・費用について
インプラント治療の期間は、早くて3か月から4か月です。お口の中の状態によっては、インプラントと骨がくっつき固まるまでに6か月程度かかることもありますので6か月から8か月程度かかる方もいらっしゃいます。
また、インプラントを行う場所やそれ以外の場所に虫歯や歯周病にかかっている場合があります。その場合はインプラント手術までに各種の治療を行いますので、別途その治療期間がかかるとお考えください。
これらの諸々の費用を含めインプラント治療は、一本35万から45万円となっています。これは保険適用外の自由診療であること、また、インプラント治療に必要なインプラント体アバットメントと言われる金属部分とかぶせものの費用が高額なためです。
ですから、その程度の費用は最低限かかってしまうと言えます。また、虫歯、歯周病治療を行う場合は、別途治療費がかかります。
2 インプラント治療は誰でもできる?
1)治療をする前のリスク確認。後遺症の有無について
インプラント治療は希望するすべての人に実施することはできません。例をあげますと、全身的な問題、たとえば重い心臓病をお持ちの方、血が止まりにくい薬を飲んでいる方や骨粗しょう症の薬を飲まれている方のインプラントは難しいです。
また、歯周病が進行している方やあごの骨が少ない方などもインプラント治療が難しいといえます。しかし、必要な事前検査をきちんと行ったうえで、インプラントを実施すれば、後遺症はとくに発生することはありません。
また、治療後に適切なメンテナンスや定期管理を実施することも大事です。医院が指定する定期的な健診を受け、自宅でのケアもきちんと行えば後遺症が発生することはほとんどありません。
2)インプラント治療が必要と判断する観点について
患者さんの口腔状況により、入れ歯による治療かインプラントによる治療かを判断します。
インプラントは人工の歯の根っこ(チタンの棒)をあごの骨に埋めるため、インプラント自体が自立している状態になります。
一方、入れ歯は隣の歯に針金をかける必要があったり、ブリッジは両隣の歯を削ってその上に大きなかぶせものをかぶせたりする必要があり、噛んだ時どうしても隣の歯に力が加わり負担がかかります。
そのため、残っている歯に負担をかけたくない場合や、削りたくない場合、入れ歯などにどうしても抵抗がある方はインプラント治療を行ったほうがよいと判断されます。
3)治療ができない年齢・高齢の方が受ける時の注意点について
基本的に20歳以下は治療ができません。高齢の方の場合、年齢に大きな制限はありませんが、服用している薬や歯周病の状態、あごの骨の状態によってはインプラント治療ができない場合もあります。
4)治療に注意が必要なケースについて
インプラント治療に注意が必要なケースは喫煙をしている方の場合です。喫煙をしている方の場合はインプラントがあごの骨とくっつきにくいので、禁煙をしていただいてから治療を行うことになります。
歯周病にかかっている方の場合は、手術前に歯周病のコントロールをしておく必要があります。
3 インプラント治療後の注意すべきこと
1)患者さん自身がおこなう日常のケア について- インプラント周囲炎の予防
インプラント治療を行った後はそのままケアが不十分だと、インプラント周囲炎という炎症になる可能性があり、よい状態を維持することができません。したがって、ご自宅での毎日のケアが必要です。
このケアはインプラント用の歯磨き粉やジェルがありますので、そちらを利用していただければ問題ありません。
2)歯科医院でのケアについて – 定期的な経過観察(メンテナンス)が不可欠
歯科医院での定期的な経過観察(メンテナンス)は重要です。基本的には3か月に1回の間隔で行います。インプラントを行った場所を中心に歯科衛生士が歯石の除去や汚れの除去を行います。
このことによりインプラント周囲炎や歯周病を防ぎます。
3)万一の後遺症の対処。違和感がある場合はすぐに歯医者さんへ相談
万一の後遺症とはインプラントがぐらぐらしてしまうことや抜けてしまうことです。このようなことは医院が指定する定期健診と自宅でのケアをきちんと行っていれば起こりませんが、万が一違和感がある場合は、すぐに施術を受けた歯科医院に連絡をしましょう。