インプラント治療は、もともと持っている自分の歯に近い審美性や、食べ物を味わったり、嚙むといった本来の機能の回復が可能になる画期的な治療方法です。しかし、高度な歯科治療であるため、失敗するリスクを伴います。本記事では、なぜインプラント治療で失敗するのか、そしてどのように予防することができるのか、詳しくお伝えします。
1 インプラント治療の流れ
インプラント治療とは、歯を失った顎の骨にインプラント(人口の歯根)を埋め込み、その上に被せ物(人口の歯)を取り付ける治療方法です。
一般的な治療の流れは、まず精密検査とカウンセリングを受け、インプラント手術が必要な箇所、治療計画、費用などを相談します。この段階で治療内容に納得できなければ、別の歯科医院でカウンセリングを受ける、というのもインプラント治療で失敗しないための1つの手です。
治療内容に納得できれば次は手術です。麻酔をかけた後、対象部分の粘膜を切開してドリルで穴を開けインプラントを埋め込みます。その後、被せ物(人口の歯)を支える土台となる部品と、被せ物を装着します。手術後は、不具合やかみ合わせ、口内状況を確認するための定期的なメンテナンスを行います。
2 インプラント治療の失敗要因
1)インプラントの埋入位置の選定ミス
インプラント治療において、適切な埋入位置の選定は不可欠です。誤った位置へ埋入してしまうと、周囲の歯や組織に影響を及ぼし、治療部分だけでなく口内全体の状況を悪化させてしまうことも考えられます。
2) 歯周組織の状態の誤判
治療前の検査の段階でむし歯や歯周病を患っている場合は、それらを優先的に治す必要があります。放置したままインプラント手術を行うと口腔内感染を引き起こし、顎の骨とインプラントがうまく結合できなくなる可能性があるからです。
3)手術技術の不足や手術ミス
インプラント治療には高度な技術が求められます。技術が不足している歯科医師が手術を行うと、当然手術ミスをする可能性や、インプラント治療自体が失敗に終わる可能性が考えられます。
4)材料の選択ミス
現在、日本では20数種類のインプラントが販売されています。患者様の体質や症状に適していない材料を選ぶと、身体にアレルギー反応が起きたり、インプラントの寿命に悪影響を及ぼし結果的に失敗に終わるケースもあります。
3 インプラント治療で失敗しないための予防策
1)信頼できる先生に治療をお願いする
前章で、インプラント治療の失敗原因を述べましたが、専門的な知識と高度な技術を持った歯科医師が、適切な診断・手術を行えば多くのメリットを享受できる治療技術です。インプラント治療で失敗しないためには、まず、信頼できる先生を選んで正確な診断をしてもらい、納得するまで治療自体や治療計画について説明してもらうことが重要です。
2)健康状態の維持と口内衛生状況の改善
皆さんが日頃からできる予防策としては、健康状態の維持と口内衛生状況の改善が挙げられます。例えば喫煙をする方の粘膜は血液の流れが悪くなっており、傷の治りや骨の治癒が遅れる傾向にあります。歯茎の骨に穴をあける工程を含むインプラント治療において、このような状態は失敗に繋がる確率が高くなります。治療の直前、直後だけでなく身体に悪い影響を及ぼす習慣はなるべく早く改善しましょう。